East Music Works's blog

なんでも屋eastによる、ベース&ギター改造、ヨーヨー、3Dプリンター&プロダクト製作、音楽レビュー、レトロゲームなどの趣味ブログ。最近はクレーンゲームにドはまり。

FDM方式の3Dプリンターによるオフストリングヨーヨーの造形!!

どうもeastです。

お世話になっております、

いとうさん@クンタラ(@harukaJM)さん | Twitterの依頼でございます。

みさなんご存知、青森県産競技用ヨーヨーブランド"Yoyo Studio Llama"さんにも

非常に縁の深いお方です。

 

ハマコンでいっしょにブースも出させていただき、

そのあとにデータ頂いていたのですがまったく手をつけられず、

その間にメイカーフェア東京に出展することになったり、

3Dプリンターも壊れたり直したり(笑)、

ほかの納期が切られている依頼をいったん優先したり、

正月休み前後でようやくかたちにできたかと思ったら、

一発ネタで作ったはずの妖怪メダルホルダーが意外にも好評なためこれに対応し、

仕事の担当範囲が広がったこともありまた時間がなくなってしまい、

大阪に越してきてからずっとですが、スケジュール管理ほとんどできてません。

本当に申し訳ない限りでございます…。

 

ようやくお披露目です。

 

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機種名:3Dプリントオフストヨー(仮)

    ※特に名前はないようです。

スペック:重さ66.6g、直径68.6mm、幅52.2mm

パーツ:M5アクセル、ヨーヨーファクトリーリングサイズパッド

素材:PLA

イエロー、レッド、スカイブルー:0.2mmレイヤー(造形時間:片面約5時間)

ブルー:0.1mmレイヤー(造形時間:片面約9時間30分)

造形機械:atom(Genkei社)

 

使用感はいつものとおり、いったん動画をご覧下さいませ。

 

ということで、私はオフストリング下手くそなので

なんもできないんですが、通常遊ぶのにまったく問題ありません。

いとうさんの設計センスもあって、癖のない扱いやすい機種に仕上がっております。

 

★耐久性

オフストリングというプレイスタイルの都合上、

落下の衝撃がボディに与える影響が心配でした。

私の技術範囲での失敗という制限付きですが

何度も床に落としましたがヨーヨーそのものが壊れるということはなかったです。

すごく強く落としてリムの積層面から欠ける、ということはありましたが、

このあたりは市販されているプラスチックの

オフストリングヨーヨーにも起きることだと感じます。

 

PLAをやめてカーボン素材やHIPS(耐衝撃ポリスチレン)に変更し、

PolyFlexなどの柔らかい素材をリムに配置すると破損も少なくなるでしょうし、

まぁFDM方式ならば、改善の方法はいくらでもありますね。

余談ですが、ウッドフィラメントのオフストヨーヨーなんておもしろそう!

 

★精度

3Dプリンターで作ったヨーヨーって精度どうなん?っていうところですよね。

動画を見ていただければと思いますが、回転体として優秀であると思われます。

造形物自体も非常に綺麗です。

私もいちプレイヤーとして気になるブレですが、体感では、

0.1mmレイヤーの造形でも0.2mmレイヤーの造形でも大差ありません。

素材の熱収縮による反りが起きない限り、

ボディバランスの仕上がりに問題は起きにくいと感じます。

 

作ってみてわかったのは、重要なのはむしろ軸周りです。

ベアリング、スペーサー、ボルト、ナット、ボディという部品を、

いかにきちんと固定してあげられるかという問題のほうが

ブレに対して与える影響が大きいようです。

もし3Dプリンターで作ったヨーヨーの、

ボディの精度ばかりを気にしている人がいれば、

それはヨーヨーの回転体としての精度評価の一面でしかない、と言えましょう。

 

なので、頂いた3Dデータとは別にスペーサーをこちらで2種類作り、

スペーサーとボディをM5のゴムワッシャーで密着させるようにしました。

これでかなり改善します。

こういうブレの発生を抑える「工夫」を、データの段階で盛り込めると良いかも。

 

★注意点と対応方法

FDM方式の3Dプリンターを使って

「おうちで競技レベルのヨーヨーを作る」ことにおける注意点をいくつか。

・重量は重めに見積もるべし。

 データ上で体積を出して比重計算して理想の重量にしておいても、

 素材やスライスの関係かどうしても想定よりも軽くなりますね。

 つくづく重量のコントロールは難しいなと感じます。

・極力反りの少ない素材を使うこと。

 前述のとおりボディのバランスが崩れにくいからです。

 私が愛用しているColorFabのPLAやPLAベースの特殊素材、

 XTポリエステルなんかは気にしなくて良いですが、

 もしABSを使うなら室温はある程度高く保ち熱収縮を抑えることが必要です。

・ベッドのレベリングをしっかり行うこと。

 要は、3Dプリンター本体の調整、メンテナンスをしっかりすることです。

 脱調が起きたり、積層がきれいに積み上がらないとボディバランスを損ねます。

 きれいに造形できさえすれば、前述の通りあとは軸周りの問題です。

・3Dデータで一発出しはほぼ不可能、データ修正ありき。

 「理想のヨーヨーのデータ」でそのまま造形すると、

 ベアリングやボルトなどのパーツとうまく合わず、

 微調整でリューターなどのハンドツールを使う必要が出てくることがあります。

 それから、どうしても素材の熱収縮があり、

 3Dデータの寸法通りに造形物が得られないことはあります。

 一度出してみて各部はめ合わせを確認して修正する、という作業は必要でしょう。

 まぁおそらく、ものづくりの現場ってどこもそうだろうと思いますけど。

 

★コツ

 私はHacchiや妖怪メダルホルダーを通じ、

 FDM方式の3Dプリンターで作るモノの嵌合などについて、

 造形の前にそもそも3Dデータ作成時に注意すべきことを

 体感で会得してきましたので、ある程度は修正のコツがわかってますが、

 正直言ってこれを文章や口で伝えるのは難しいです。

 うーん。

 内径10mmの丸穴に外径10mmの丸棒は入らないので

 熱収縮による影響も加味したクリアランスを設け、

 さらにできるだけ少ないサポート材で造形できるようにデータを設計する。

 こんな表現で伝わるでしょうか。

 

 

 

3Dプリンターで作ったヨーヨーなんて…っていう偏見てまだまだあると思います。

私も、可能性は感じていても正直に申し上げてまだ半信半疑、

いろいろと考えているところ多々あります。

けど、3Dプリンターでものづくりしてみたいって思ってる人、

増えてるんじゃないかな。

だからこそ引き続き、

私はヨーヨーをモチーフに先陣を切って試行錯誤をしていきますし、

また、こうやって公開していきます。

 

このヨーヨーに関して言えば、

ブレが起きない状態に仕上げられたときの感動、

筆舌尽くしがたいものがありました。

今後のヨーヨー開発に繋がると思います。やってみないとわかんないもんですわ。

 

今回、辛抱強くお待ち頂いた上、

快く造形物の公開に同意してくださったいとうさんに感謝でございます。

ありがとうございましたm(_)m

 

今日はこれまで!

 

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