East Music Works's blog

なんでも屋eastによる、ベース&ギター改造、ヨーヨー、3Dプリンター&プロダクト製作、音楽レビュー、レトロゲームなどの趣味ブログ。最近はクレーンゲームにドはまり。

宮部みゆきの「ブレイブストーリー」がおもしろい

どうもeastです。

以前に比べて読書量が減っているのが目下の悩み。

会社行って、帰ってきて3Dデータ作って、3Dプリンターいじって、

ってやってたら、本を読む余裕がほんとないなぁと。

時間は有限、というのを実感している私です。

 

さて、けっこう時間があったはずの年末年始、

ごろごろしながら何をしてたかって、

「男はつらいよ」のリリーさんだけ出てくる回をエンドレスでかけながら、

3Dプリンターの組立してたんですが、何を血迷ったか、

TUTAYAでレンタルしてきたDVD、「男はつらいよ」の他に

ブレイブストーリーのアニメがあったわけです。

あ、これは本ですね。

中古で探せば本も映像ももっと安いと思います。

 

で、アニメはふーん(-ω-)って感じであまりじっくり観ずに

素通りしてしまったのですが、

崩壊した家庭を背負った少年が運命を変えるため異世界に旅立つ、

という物語のバックグラウンドにどんな意味があったのかすごく気になって、

原作を買ってきて一気読みしました。

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原作が世に出たのは2003年、映画化は2006年、当時、大学生だった。私。

すみません、あまく見てました。

 原作かなり面白いです。

 

2時間に詰め込む都合上、

映画では原作の要素がかなりカットされており残念ですが、

深夜アニメ枠とかでうまく構成して原作を忠実に映像化したら、

今でも十分楽しめるものになるはずですよ。

 

転勤したことでガラリと変わった仕事を通じて、

日々いろいろと考え込むことが多くなりました。

サービス業なので、基本的には人と人との関係の中にしか仕事がありません。

当然、いろんなことが起きます。

なぜこの人はこんなことをしてしまったのか?

(そして結果、傷ついた人ができてしまった)

なぜこの人はこんな風にしか表現できないのか?

(そして結果、誤解したままわかりあえない人ができてしまった)

なぜこの人は譲ることをできないのか?

(そして結果、まわりに信頼されない人ができてしまった)

人間の昂ぶった感情や気持ちに由来する出来事に日々直面して戸惑っています。

肩の力を抜いて、落ち着いて生きるってことは難しいんだな…

そんなことを考えます。

 

主人公のワタルの家庭が崩壊する過程が、

ものすごく多くのページを割いて丁寧に描かれています。

テレビゲームを買うためにお金を貯める描写、

学校や親友の家で遊ぶ風景、

仲の良い親戚の伯父さんとの会話や泊まりでの旅行の計画、

自分も大人になってから思い出に浸れる、

ああこういう風景あったよなぁと思える小学生の日常。

 

同時に描かれていくのは、

父親の家出、母親の精神錯乱、壊れていく両親の関係性の中で混乱に陥るワタル、

お気楽に、"普通"に、過ぎていった日常が、どんどん壊れていきます。

もっと悲惨な背景を持った転校生との出会いと、

異世界への入口となっている廃墟ビルがちらほら物語に入ってきて、

母親の自殺未遂を機に、不当と感じたその運命を変えるため、

辿り着いたものの願いをひとつだけ叶えてくれる運命の女神を探しに"幻界"に…。

 

で、もう端折ってしまえば、

紆余曲折あってももちろん最後無事に辿り着きます。

冒頭400ページあまりを使ってまで主人公に背負わせた不幸、

対になる答えとしての、

物語の残りを費やした長い冒険の最後に主人公が女神にかける願い。

願いそのものは決して冒険の答えではなかった、

という部分がこの小説のおもしろいところであり、核心ですね。

 

ずいぶん小説読んでないんだよなぁ~って人の復帰におすすめです。

この物語を追体験をすると、

人間が人間の中で過ごす故に生じる喜びも窮屈さも、

どちらもああ尊いものだよなぁと実感することができるようになるかな。

ネタ自体は10年前の今更感の強いものですが、

10年前のものだろうと50年前のものだろうと、

読むことで追体験できるのが本・小説という媒体の、

私がすごく好きなところです。

 

まぁ、それでも、読んで感動したことや思ったこと考えたことって、

日々いろいろあるとまた忘れちゃうんですけどね。

今日はこれまで!