3Dプリンター「atom」は生産機械の夢を見る ~その2、生産哲学編~
どうもeastです。
3Dプリンターを使ってオープン&フリーな発想でヨーヨーを作っていくブランド、
「YOYO-MAKER」を立ち上げたのもすでに先週のこと。
YOYO-MAKER フェイスブックページ立ち上げのお知らせ
あまりにも直球な名前ですが、これくらいのほうが良いのかなって思ってます。
発想や試したいことは山ほどあるのに開発にかける時間がちょっとしかないので、
いろんな動きが鈍いとは思いますが見守ってやってくださいませ。
さて今日は、3Dプリンターを使い倒そうというチャレンジを続けていくにあたり、
ひとりの「メイカー」として、
私が追求しなくてはと思ってる「考え方」について記述しておきます。
自分用のメモに近いですが、後ろに「〇〇メイカー」が続いて欲しいですからね。
写真はatomで生産するヨーヨー「キャンディハッチ」です。
これをひとつ作るのにどれくらいの時間と手間と労力がかかるか、
そしてこの流れは世界にとっていったいどういうことなのか、という話です。
3Dプリンターは、それを持っているだけでは何も作ってくれません。
作りたいものの3Dデータがあって
(データが自分で作れるとなお良い、理由は後述)、
素材を買ってきて、素材に合わせたセッティングを施し、
3Dデータを調整し、ようやく初めて造形してくれるマシンなのです。
さらに、造形が開始されてもちゃんと造形されなかったり、
途中でハングアップしちゃったり、
なんでーΣ(゚д゚;)っていうトラブルに見舞われることが前提です(今のところは)。
パーソナル3Dプリンターの場合、仮に3Dデータがあっても、
まず「安定して同じ形が出力できる」という状態に辿り着くまでに、
数限りない試行錯誤が様々な段階で展開されることになります。
実は、プリントサービスに出してもこれは同じことだったりします。
手元に届くまで、造形物同士のクリアランスすらわからないんですからね。
手元に届いた現物を見ながら、また設計を修正…。
こういう話、どこかで思い当たりませんか?
「ものづくり」の過程そのものですよね。
方法が旋盤加工だろうと金型加工だろうが、
対象が自動車だろうとなんだろうが、
僕らの手元にある「モノ」のほとんどは、
こうした「作る人(たち)」の試行錯誤の末に存在しているんです。
道具が3Dプリンターになっただけで、何ら変わりありませんよ。
ただ、ひとつ明確に違う点があるとすれば、場所が「私の自宅」であること。
そうです、データの作成からプロダクトのアウトプットまで、
私の机の上で起きていることなのです。
これがデスクトップファブリケーション、
世界にはこのムーブメントの兆しがあります。
同じもののように見えてこの「キャンディハッチ」は、
ナイロンで作る正規版とも呼べる「ハッチ」とは設計を異にしております。
何度も何度も設定や設計を変えて出力して適正な仕上がりを求め、
プリントサービスに入れる「ハッチ」のデータから、
パーソナル3Dプリンターで作る「ハッチ」の最適なデータへ。
この「変化」・「改善」はあくまで、自分の机の上で起こしたものです。
しかも私の場合、本業とは別にやれている、ということもポイントです。
私のように何か仕事を持ちながら、空けた時間で好きなものを作る。
こういう「デスクトップファブリケーションプレイヤー」が増えることにより、
3Dプリンターがギークのガジェットでは終わることなく、
自宅用生産機械としての意義を持ち始めるのではないか?
と私は強く感じています。
データを自分で作れること、というのが重要になってくるのはここの局面です。
「構造」が複雑でも単純な「つくり」のモノであれば
3DCAD or 3DCGで描いたものが出て終わりでしょうが、
ヨーヨーのようにさらに何かと組み合わせて使うことが前提のモノの場合、
きちんとプレイできるものであるか、回転体としてブレないかといった、
「実用」あるいは「既製パーツとの組み合わせ」に向けた工夫を、
これも自分でトライアンドエラーを繰り返し、克服するしかありません。
何も複雑な3Dデータ作る必要はないと思うので、
「使える」くらいにはなっていたほうが良いんです。
さて…こうした試行錯誤の末に出力するこのヨーヨー、
1個作るのに5時間30分かかります。
ちなみにネジやベアリングも別途手配します。
ここまでを見て低コストプロダクトと解釈するか、
高コストプロダクトと解釈するか。
3Dプリンターは生産のためのものじゃないからねと言って止めて、
まだ売れるかどうかもわからないモノに数十万~数百万かけて金型作るか。
そうじゃないんです、そういうことじゃないんです。
既に、作るか作らないかを選べる世界になったんです。
私には迷いがありません、生産機械としてatomを使い倒します。
設計から生産から販売まで一気通貫、自宅でやる。
これが新しいモノづくりのカタチなのではないか?
そんなふうに考えながら、今日もatomを操作しています。
かなり長くなりましたね。最後まで読んでくれた方、あざす!
今日はこれまで!